いろんな女性が当たり前にいる映画『シンデレラ』

脚本・監督:ケイ・キャノン/2021年

 

あらすじ:シンデレラが夢を叶える

ミュージカル。音楽とラップが満載でもうそれだけで楽しい。

 

 

シンデレラといえば、魔法使いを待ち、王子様を待ち、ということで受動的なプリンセスの扱いを受けている(ように私は思っている)。けれどこの作品では、シンデレラをはじめさまざまな女性が主体的に行動をする人物として描かれている。

 

シンデレラはドレス職人になる夢を持っているが、義母は娘たちにお金持ちとの結婚を望んでいる。新しいなと思ったのは、姉たちと義母がシンデレラを強くいじめないこと。ドレスを台無しにするシーンの、3人の表情は見ものだ。他人を傷つけてしまったときの痛ましさを感じられた。物語のシンデレラは、嫌なやつを見返してやるという気持ち良さがあると思うが、今目指すべきは女性同士のいさかいや見返し合いではないのだよなと思えるラストだった。

お洋服に母親の意志があって、シンデレラの趣味を尊重せざるをえない気質だろうこともうかがえた。

 

王室周りの女性たちもキャラクターが濃くて良かった。

まずはグウェン王女。パーティーの最中も政策について話したがる彼女は、伝統的なしきたりによって、女性であるがために政治の場に関わらせてもらえない。

そして王妃。王より低い椅子に座り微笑む、従順な女性と思いきや、彼女の言葉が王の心と伝統を動かすことになる。フェンシング姿が格好いいし、意志を感じさせた。

パーティーに出席していた女性たちも、さまざまな文化を感じさせて美しかった。

 

男性であれば、フェンシング姿をうつしたとしても意志を感じさせはしないと思う。意志を感じさせた、という言葉自体も変な感じだ。女性には意志がないはずがないから。でも、わざわざフェンシング姿を映すことはいままであったのかなと思う。

これからの映画はもっといろいろな女性を当たり前に描ける、見られるものになるだろうなと楽しみになった。