ホラー映画のテンプレをメタる『キャビン』

監督:ドリュー・ゴダード

脚本:ドリュー・ゴダード、ジョス・ウィードン

2013年

 

あらすじ:マニュアル通りにホラー映画をやる

 

(ネタバレあり)

5人の若者が訪れた山奥の別荘が気持ち悪い。5人の内訳は力持ち、ガリ勉、薬中、ビッチ、処女。地下室に行くといろんな宝物、のひとつの日記帳をめくると、そこには血塗られた家族の歴史が書かれていた。5人は思い思いに過ごすが、ゾンビがよみがえり殺されていく。

そんな光景を監視カメラで見つめるなにかの職員たち。彼らはホラー映画のように、マニュアル通りに5人の若者を殺していく役目を負っていた。古代の神々への生贄にするために。

 

ホラー映画のセオリーというものがあるらしい。金髪ビッチは死ぬ、とか子供は生き残る、とか。人の属性やカテゴライズで作中キャラクターの行動が決まってしまうことに立ち向かった作品はたくさんある(キューティブロンドとか)。そのホラー映画版が、キャビンだと思った。

「なんで物語のために殺されなきゃいけないんだよ!!!」という怒りがあって良かった。

私はホラーが怖くて、あんまりたくさんホラー映画を見たことはなかったので、どこか他人ごとのように見ていたんだけど、ホラー映画が好きな人の感想が気になる映画だった。

自分の愉悦のために人が殺されていくのを見る、古来の神々って私たちのことなんじゃ?

 

京都の子供たちが自力解決をしていてめちゃめちゃすごいなと思った。「クソガキどもが!」という罵倒も笑ったし……やっちゃいけないことをちゃんと分かってるがゆえの、タブーの笑いだと思ったので、好感度高い。

 

宗教的なもの、というよりは信仰的なものを描いているのかな? と。

冒頭の不妊治療の会話は物語の進む道を示唆しているはずで、生命という神の領域に人間が進んでいることを暗喩しているのかな? かな?

ひきだしの留め具の話、もしかしてと思って字幕版を見に行ったら「cabinet」だって~

脚本、うめ~~~

 

ラストシーンも最高すぎる。人生の最後、抱きしめてくれる人じゃなくて、一緒に怒って世界を終わらせられる誰かがひとりでもいてくれたらいいね。