打ち筋は人柄『打姫オバカミーコ』

作:片山まさゆき

2004年から2010年にかけて近代麻雀で連載された漫画である。全15巻135話。

 

あらすじ:妻と麻雀に見捨てられた男が、ひとりの女流雀士を育てることで共に成長しながら麻雀をやり直していく。

(以下ネタバレがあります)

 

 

なんでかこのおもしろそうな漫画が無料で読めるってことで、全話読んだ。

めちゃめちゃおもしろかった。

 

ミーコを主人公として物語は進んでいく。ミーコは女流雀士なので、女流だけの大会で自然打つことも多い。ミーコの前に立ちふさがる女流雀士たちがみな魅力的なのだ。最初は敵対していた人物が、物語が進む中で実は美学を持って麻雀を打っているのが分かったり、より強大な敵と戦うためにミーコと共闘したりと、麻雀という大きな世界での仲間となっていくのが熱い。

真の主人公は波溜かもしれない。波溜の絶望からはじまった物語はその後悔を拭い去る形で美しく幕を閉じた。ギャグ漫画のテイをとりながらグングンと成長していたミーコの物語の裏で、波溜の物語が同時に進んでいたのがすごい。綺麗すぎる。

 

BL的に読むと、茂葉入←枕木、江戸木→我鷹→波溜が覇権カプだった。

最後、江戸木がとつぜん語りかけてくるから怖かった、愛が。

 

ネット麻雀のトッププレイヤーが、実際の卓ではまともに牌を扱えないなど、インターネットが盛り上がった時期の漫画ながら、雀魂が大流行している今見ても普遍性がある。私ははじめてリアル卓をさわったときは優しく教えてもらったので、デジミユは面の皮が厚くてすごいなと思った。アナログ対デジタル編のれいらさんの貫禄もかっこよかった。

それぞれの美学が麻雀の打ち筋としてくりだされてくるの、本当に良かった……人柄と麻雀が相互に作用しながら魅力的に見える。

 

ちなみに、読み終わったけれど麻雀はぜんぜん強くなっていない。

麻雀の解説はめちゃめちゃ丁寧でめちゃめちゃレベルが高い(から私レベルだとなにをいっているのかよくわからないのだ)。

 

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