現代版漂流教室Sonny Boyがおもしろい1話~4話感想
原作・脚本・監督:夏目真悟
あらすじ:中学3年生が校舎ごと異世界に漂流し、超能力を得てしまった。
Twitterで「変なアニメだよ」と言われているのを見かけた。
一緒にRTされていた公式のキャラクター紹介。
👥#サニボ なキャラクター👥
— アニメ Sonny Boy|NOW ON AIR (@sonnyboy_anime) July 26, 2021
エース🎙#村井雄治💬
上海(しゃんはい)🎙#荻野佳奈💬
はやと🎙#山本祥太💬
きい🎙#佐藤恵💬
🔻公式キャラクター紹介ページhttps://t.co/TwjvZSUhTd#SonnyBoy #夏アニメ #夏目真悟 pic.twitter.com/4vxoKT03Ps
ふーんいろんなキャラがいるんだな~、で、
漂流の際に発現した能力は、汚い水でも飲めるようにできるという【おいしい水】。
能力【おいしい水】って何?
(ネタバレあり)
ということで見始めました。
4話まで見たところたいへんおもしろかったので、最後まで見たいと思います。
1話から4話までのあらすじ
第1話 夏の果ての島
8月16日と書かれた黒板と、返信の来ないラインメッセージ画面から始まる。
異世界に漂流した校舎に閉じ込められた36人の生徒達。窓の外は一面の暗闇。
学校の中では能力を使った暴力がはびこる。それを規制しようと動き始める生徒会。
生徒会が決めたルールに反した人間にキャップが指を向けると顔にバッテンが印され、強制的に罰を受けさせられる。
反旗を翻す生徒と生徒会が対峙する。しかし主犯である朝風には罰がくだらない。ルールを破ってはいないからだ。
バッテンは誰かの能力ではなく、この世界が定めたルールだった。
校舎から駆け出し跳んだ希が落ちていく手を掴む長良。
ふたりが落ちたのは海。暗闇は開かれ、世界は移動する。
第2話 エイリアンズ
舞台は暖かな気候の島。
学校と島の時間の流れの違いから、漂流の仕組みを辿れば元に戻れるのではという仮説がたつ。
物質が燃える現象に生徒たちは悩まされる。
燃えた物質は全て瑞穂が能力で取り寄せたもので、「燃える木の前で瑞穂を見た」という長良の一言が広まり、生徒たちは彼女が犯人なのではと推測する。
瑞穂が取り寄せた城に直接赴く生徒会のメンバーたち。
しかし物が燃えるのは瑞穂の能力のせいではなく、「対価を払わずに得た物質は燃える」という世界のルールだった。
火事を避けるために、仮想通過を用いての取引がはじまる。
いっときは全てが燃えてしまった島だったが、元に戻ってしまう。
希の能力は「コンパス」。世界の出口、帰るべき場所が見える。
第3話 下駄を履いたネコ
第4話 偉大なるモンキー・ベースボール
感想
セリフにない情報
このアニメは不親切といえるだろう。たとえば家事をしながら、勉強をしながら、ツイッターを見ながら、では取り落としてしまう情報が多い。椅子にどっしりと腰をおろし、一時停止をしながら何度も繰り返し見るのにふさわしいアニメだ。それは一瞬で次の画面に変わってしまう黒板や、ノートの文字や、ラインのメッセージと、暗喩のように感じる画面のせいだ。
私がこのアニメを見るきっかけになったのは変な能力とその名前だ。どうやらその名付けは、生徒たちの能力をノートにまとめた眼鏡のはやとがおこなったらしい(第3話)。指先が光る自分の能力を「E・T」と名付けるセンスに脱帽だ。ノートの画面を一時停止して確認すれば、名前だけではなく、ランクや数値化した能力値、属性と能力効果が書かれている。お前、ハンターハンター読んでるだろ!
記載された文字情報だけではなく、映像による暗示もある。
第2話の中心となる瑞穂は、左手の薬指に指輪をしており、ひとりでいるとき視界に入る。この指輪が何を意味しているのかは語られていないが、元の世界にいたとき、彼女が同じ資料室にいた教員も左手の薬指に指輪をしており、クローズアップして写される。そして対立した田中が瑞穂に言う言葉「そうやってまた大事なものを見捨てるんだ」「簡単なことなのに、たった一言」自分が悪いと謝れば「先生もいなくならずに済んだのに」。推測でしかないが、瑞穂と教員は交際関係にあり、懲戒処分となったのではないだろうか。と書きながら見返していて、普通に田中を掲示板で中傷した責任を取らされただけな気がした(瑞穂が「自分がやった」と言わなかったために、教員が中傷を書きこんだことにされた)。でもなんとなく、性愛の雰囲気を感じ取ってしまっている。
また、キャラ表を見て知ることも多く、長良が家族と上手くいっていないことにも私は気がついていなかった。
👥#サニボ なキャラクター👥
— アニメ Sonny Boy|NOW ON AIR (@sonnyboy_anime) July 19, 2021
長良🎙#市川蒼💬
希🎙#大西沙織💬
瑞穂🎙#悠木碧💬
朝風🎙#小林千晃💬
🔻ほかクラスメイト紹介は公式サイトへhttps://t.co/TwjvZSCH1F#SonnyBoy #夏アニメ #夏目真悟 pic.twitter.com/vOyO2y2y0V
見返せば1話の始まりから母と連絡が取れていないし、進路相談には母が来ていないのだが……若い女性教師とそれに気をとられる担任に気をとられてしまっていた。
そして名前がぜんぜん覚えられない。名前を呼ばないからだ。36人の生徒がいるが、関わりの強い人もいれば薄い人もいる。これからその人となりが能力とともに明かされる(かもしれないし明かされないかもしれない)ことになるだろう。そのときにはきっと、あ、この人見たことある、とまさに隣のクラスの同級生と初めて自己紹介するような気持ちになるはずだ。
魅力的なキャラクター
キャラクター原案
なんといってもキャラクター原案の江口寿史だ。美少女画で知られる江口さんだが、全キャラクターが並んだときには不思議と全年齢、どんな層のことも拒絶しない絵柄に感じられるのはすごい。余談だがSonnyBoyはEテレで流しても良いと思う。同じ江口寿史がキャラクター原案だし……
キャラの持つ多様性
たぶん36人全員いる。それは放送前に見たキャラクター紹介で、さんざん兼役をしている声優さんがいることからも察せられる。
視聴者は主人公的ポジションである長良と希の視点を見ることが多いので、他のキャラクターが見せる姿の多くはふたりに接する態度だ。
4話時点でもいろんなキャラクターが出ている。特に生徒会チームはキャラが濃い。
元の世界で上級国民と呼ばれた明星は、明らかに漂流世界で自分を神あるいは神の子と定めているように思うし、その真意はまだわからない。能力は祈りの形を持ってもたらされる。未来のビジョンを共有しているように見えるが、その未来はどれも外れているので、預言ではなく伝達・共有の能力なのではないだろうか。本来の能力でないものをそう見せるのは第1話で彼がすでにやっている。
不正で生徒会長となった田中は、めちゃくちゃ嫌な奴に感じる。それは瑞穂に言ってのける言葉だけではなくて、言い方がめちゃくちゃ嫌な感じだ。敵の生徒会という感じ。けれど生徒会室で明星と話すときは年相応に試験勉強なんかして、彼女の人生があるのだなと思う。私は人生において生徒会の人たちが大体嫌いだったので、その嫌な感じが凝縮されたような話し方をする彼女、が存在していることに感動している。声優は佐藤はなさんという方らしい。保身がない、手放しの正義を田中は貫こうとしている。そして明星はわかりやすく裏がありそうだけれど、漂流異物を集めている(?)田中もなにかやりそうで怖いよ。
中学3年生というのは自分にとってなかなか大変な時期だったように思う。受験もあるし、気持ちも不安定だし、この時期は友人との関係も絶対とは言い難かった。私の周りの人も同じような状態の人が多かった気がする。みんなが受験勉強をするなかで、スポーツ推薦でいち早く進学先を決めた人が楽しそうに遊んでいたり。そういった状況がSonnyBoyの世界でもあるようだ。
中学3年生でもしすごい能力を手にしたら、私は正しく使えるだろうか。
すごい能力を手に入れられるはずはなく、これはオタクの「教室に暴漢が来たらどうやって倒すか」妄想にすぎないと分かっている。だからすごくない能力を手に入れたときのことも考えるのだが、漂流世界ではショボい能力の人もきちんといるからちゃんとしている。スクールカーストの上にも下にもショボい能力の人はいるのだ……
もし力が与えられるなら、私が特別に人よりもすごい能力を得られると思える時期は過ぎ去ってしまった。
だからこそショボい(っぽい)能力のはやとが厨二感満載に記録したノートや、ひとりでいたいと黒いひだで囲まれた世界に引きこもった生徒たちがゲーム実況や裁縫をしている姿を愛せずにはいられない。
多様性といえば、出身地にも幅がある。能力をプログラムを具現化するラジタニはインド人らしい。キャラクター紹介を見ていたら、上海も外国人らしい(訛りの強い日本語と染髪だと思っていた)東京都では令和2年度の公立中学では225327人中3975人が外国人生徒なので、56人に1人は外国人生徒。36人に2人の外国人生徒(もっといるかもしれないが)のSonnyBoyの世界は、かなり実態に即しているように思う。
これからもっと、いろいろなキャラクターがアニメなどのフィクションに登場してきてほしいなと思っている。
これから
どうなるんだろ~!
海から白衣の(大事なことなのだ)教師が現れて、というのは引きがバッチリ強くて続きを見たくてたまらない。リアルタイムで追っていた人、めちゃくちゃ興奮して寝れなかったんじゃ? そう、このアニメは10月1日に最終回を迎え、もう全話の放映を終えているのだ……
4話まで見て、これからの伏線になるであろうことがたくさんあって次を見たくてたまらないのだ。しかしこれはすごいアニメだと思って、こうしてブログをしたためた。
この作品を好きだというファンに、強く長く愛されるアニメになるんじゃないだろうか、という期待が私の胸にある。私がそのファンになれるんじゃないかという期待だ。